平塚宿雑之部
一、此宿榜示杭壱ヶ所、馬込村堺壱ヶ所、高麗寺村境壱
　ヶ所有之、建替之節ハ領主役場にて取扱来、
一、此宿町並にて南ハ御林ゟ海辺にて、北ハ田畑御林也、
一、此宿田ゟ畑多し、用水ハ中原村・南原村之小溝ゟ引
　取、流末ハ華水橋川より海に落る、
一、呑水ハ堀井を用ゆ、
一、農業之間、男ハ漁猟又ハ沓わらしを作る、女ハ木綿
　を織る、其外仕馴たる手作業なし、
一、五穀之外時々の野菜を作る、
一、此宿立なし、
一、米津出し大磯浦并須賀浦まて弐拾七町、夫より江戸
　迄海上弐拾里程、
一、竹木の類船積・筏下ヶなし、
一、花水川あり、幅大概六間程、橋渡り也、此川水元ハ
　南原村小川ゟ流れ来、流末ハ海に落る、
一、此宿海附にて漁業有之、鯛・鯵・鰯・鯖其外小魚の
　類品々とれ候由、
一、此宿漁船四艘有之、尤御納屋御用相勤、魚類江戸
　新材木町附送り候由、
一、此宿漁運上永年々領主に相納候由、
一、此宿花水橋下宿内秣場にて、此辺唐ヶ原ととなへ来
　り候由、
一、此宿一躰平地にて山坂無之、見渡し山々有之、且此
　宿より隣村又ハ田畑耕地に出る小道有之とも、重立候
　脇道なし、